コーヒースティック

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「ありがとうございます」 羽村から、コーヒースティックを受けとって、 みんな嬉しそうに牛乳に混ぜていく。 羽村は、ずっと私を見ながらゆっくり配っていく… 私は、 もうわかっていた… みんなが、羽村の持つ箱の中を時々背伸びして見ていた。 何十本とたっぷり入っているのが見える。 楽しそうな渦の中で、 私は想像していた…その時が来た時の私を。 『私だけもらえない…私だけもらえない…私だけ…』 机の上を見ながら、呪文のように繰り返していた。 ピタッと、 羽村が私の後ろで止まったのがわかった。 みんなが兵隊のように、 いっせいに私を見る音がした。 『恥ずかしい』 全身から汗が吹き出していく… いつの間にか、私は息を止めていた。 「はっ」 息をした時、もうとっくにことは終わり、何もなかったように食べ始めていた。 また、私だけがあたりを見回した。 「?」 教室の中に、真っ青な顔をして給食に手をつけていない子がいた… 『澤井くん?……佐藤さん…!』 二人の机の上にも、 コーヒースティックは配られていなかった…
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