明日、先生が死んでますように

開始

国語の時間、
漢字書き取りテスト、
静まり返った教室…

『あ…』

顔を上げる。

先生が私を見ていた。

『やっぱり…………っ!?……笑ってる？』

とっさに微笑み返してしまった。

先生が、
このまま笑っていてくれたら、
今までのこと、
全部、
私の気のせいなんだって思えると思ったから…

でも、突然、ピシッと
ひびが入るように、先生が言ったんだ…

「みんな、榎本を見なさい。」

みんなの顔がいっせいに、
兵隊の行進が止まった時のような音を立てて、私を向いた。

みんなが私を見たのを確認して、
「榎本…何を笑っているんだ。
みんな、榎本さんは、勉強が出来もしないのに笑っています。
できないくせに、笑ってんじゃないっ！頭悪いくせに、できるような顔してんじゃないよっ！」

この日から、私の顔攻撃開始。

毎日、毎日、みんなに私をみるよう宣言しては、頭良さそうな顔するなと繰り返された。

でも、何故か私の顔は、先生が怒れば怒るほど、
怖いほど、引きつっていったが、

笑っていた。

私が笑うほど、先生は怒るから、
『笑っちゃいけない！
お願い！笑わないで私の顔。』
と思うんだけど、

何故か、外せない鉄仮面のように、

いつも私の顔は笑っていた。