35人が本棚に入れています
本棚に追加
反発と挑戦の色を瞳に浮かべてビルをにらみ返し、ティーダはスタジアムへと急ぐ。
それにしても奇妙な夜だった。
ティーダも道を行きかう幾人かも、“それ”の接近を感じていた。
今夜、何かがくる。
そして何かが終わるのだと……。
やがて“それ”は、圧倒的な力を披露しようとしたその瞬間、“それ”――巨大な魔物は都市を飲みこむかのように姿を現し、たちまちのうちに各所を破壊していく。
パニックにおちいった群衆をかきわけ、崩壊したスタジアムをやっとの思いで抜け出たティーダを待っていたのは、ここ10年の間ティーダの後見をつとめてきた謎多き男、アーロンだった。
この非常事態を予期していたのか、妙に落ち着き払った様子の彼は、人波と逆の方向――明らかに危険な方向へと、ティーダを導いていく。
最初のコメントを投稿しよう!