好き…たった一言

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そう言って俺からバッグを一つ奪い、鍵を開けて俺の家の中に運んで行く 「あ、コレ今の内に洗濯しといたほうがいいね!私やっておくよ」 そう言ってくれる彩花は終始笑顔であった いや、正しくは造り笑顔だ…… 何故だか分からないがそう思った 言いようのない違和感が感じられる それは本の些細なものかもしれないが、幼い頃より見てきた俺には彩花が何か無理をしているように見えた… だから… 「彩花、何かあったのか?」 「え?何が?」 そう言ってとぼける彩花もやはり笑顔で、何でそんな顔をするのか俺には分からなかった 「いや、何もないならいいんだけど、何かあったんじゃないかなって思って…」 「……」 彩花は一瞬俯いたかと思うと、すぐに顔を上げて 「どうもしないよ?涼こそいきなりどうしたの?」 また違和感がある笑顔のままそう告げた
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