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 2人分の体重を支える腰から下、ちょうどフェンスの手すりの所に当たって窮屈な息子が痛くて、歯と歯がガチガチとせわしくなり、泣きそうになる。 「お前にアタシを助ける意味があるのかよ?」 「無い!!けど、やるなら他のところでやってくれよーっ。てか、早く!!使いモノにならなくなっちゃう」  自分が落ちそうになっているのにまるでテレビの傍観者の如く平然としている女はやがて何かを考えた顔つきで、プランプランしていた細いもう一つの手を僕の腕に絡め這い上がってきた。 「お前、目の前で人が死ぬのが嫌なの?」 「ハァハァ……いいや、正直どうでもいい。けど……僕が疑われるじゃん」  煙草を取り出し笑う顔はキツイ物言いとは裏腹に正直可愛かった。 「確かにな。でも、お前。私を助けたこと、後悔するよ」 「で、名前は?」 「人の話し聞いてねぇのな……久留米沢雛」  そう、あの感覚に似ている。世界が崩壊した感じ。率直に言うと、後悔した。
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