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  「……あの、有名な久留米沢さん?」 「そう」 「同姓同名とかじゃなくて?」 「しつこいよ」    久留米沢雛は学校の有名人。頭が天才的に良いので、同じ意味の事を二回も聞かれたくないという、仏もビックリな女。好かれた奴は三日と保たず、嫌われた奴もまた然り。と。  確か、数時間前に爆発事件があって、その直後に学校を辞めた奴がいたことを思い出した。あれは、どっちなのだろうか。 「好きだったんだ。あいつ、学校を去って数十分後に死んじゃったぁ」  いきなり喋りだした久留米沢。目尻には涙が溜まっている。実際やることえげつないと聞く。意外、可愛いと思う自分にゾッとした。 「ん?」 「知りたい……そんな顔してた。アタシ奴がいなければ生きている意味がないと思ってた。けど、アンタが助けたから……」  アンタをアタシが生きる意味にする。その言葉が胸に突き刺さった。そりゃあ、もうグサリと抜けないほどに。さっき、の感情も消し去るほどに。 「んーー……へ?」
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