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「……なんだよぉ」
「へ?」
「もぅ!! 聞いてなかったでしょーー」
はっきりとクラスで馬鹿だと陰口を叩かれている目の前の女の子は、全身を隈無くピンク一色で着飾っていて、見ていると目が痛くなる僕の彼女。月影みゆ。
けれど、悪口でも苛めでも気づいていないのか、いつも素直で懸命なみゆは一緒に居て一番楽だと思う。
「だからね、友達ができたの。スッゴく頭良い子なんだよぉーって言ったんだよ」
一瞬嫌な予感がしたのは言うまでもなく、青ざめた僕に気づかないみゆは冷えた紅茶を一気に流し込んだ。
「友達?……まさか……」
「ほぅ、察しがいいな」
聞き慣れてないけど聞き覚えがある声に頭が痛くなる。これはもう、回転がいいとかの問題ではない。
「だいたい、天才とか謳われてる割にワンパターンだよね」
カルピスソーダを啜る僕の斜め後ろに立っていた久留米沢雛は、それがさぞ普通かの如く僕の隣に座り、店員にポテトとドリンクバーを申しつけた。
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