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「アリス、大丈夫?」
「ん、平気。」
「今回、ハードだったから大変だっただろ?AV何本目だっけ?」
「忘れた。」
「人気女優だもんね。」
「そのはずだけどね。」
「?」
汚れた身体を洗い流し、あいさつを済ませると家へと急ぐ。アリスは、美月のもう一つの名前だった。秋人には、秘密にしているもうひとつの“顔”。そもそも、バレない事が美月には不思議で仕方なかった。成人誌のヌードに出たこともあるし、作品の宣伝だってたくさん載ってたハズだ。レンタルショップの人気作にだってなってるのにっ!秋人に同居を持ち掛けたのは、“アリス”として存在するようになってから、裸で誘っても手を出さなかった初めての男だったからだ。凍えて拾われたあの夜、裸で秋人の隣に潜り込んだのは、シャワーを借りて酔いが覚めたところで、運良くイケメンに拾われたことだし、“そういう気分”だったし食べられたかったからだ。それが、あの態度だ!オマケに自分を“抱かない”と言い切った上、毎日隣で寝ているのに、ホントに手を出してこない。「ホモなの?」と聞いて、一度頭を殴られた。初めは、手を出さないことにムカついてもいたが…今は、無性に秋人が気になる。
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