†答えを見つけて†

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「それは、わざわざすいません。」 「あの、なんだかお邪魔したみたいですわね。」 ちらりと、彼女の視線が美月をとらえる。 「いや、彼女は…。」 「やだな、私は“藤宮サン”とは、ただの顔見知りですよ。エレベーターで一緒になっただけ。」 「そ、そうなんですか?ごめんなさい、変に気をつかってしまって。」 「いいえ。じゃ、また。」 「あ、ああ。」 美月は、顔色一つ変えずにスタスタ歩いていった。秋人は、内心なんの動揺も見せなかった美月に対してムッとしていた。つい先刻、出ていけと促していた自分が、何故こんなに苛立つのか?答えなど、知りたくもない。 「今日は、ろくな日じゃないな。」 「ハァ、ハァ、ハァ…。」 マンションの角を曲がり、美月は、ひたすら走っていた。もう、絶対“二人”に見つからない。そう確信出来る場所まで走って、やっと立ちどまる。見上げれば、重苦しい冬の空が広がっていた。憂鬱な空…。重苦しいのは、空だけじゃない。私の心も…―。 「あんな風には、なれないもん…。」 先程の女性と自分を比べて、美月は劣等感に押し潰されそうになっていた。
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