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見るからに真面目そうで、頭良さそうで…きっと、秋人が好きなんだろう。そうでなければ、直接会いに来たりしないだろう。私に、気を使ったりしないはずだ。
「秋人は、どっちを選ぶかなぁ?…私じゃ、ダメかな?」
考えるだけ、無駄な気がした。秋人からは、足を引っ張るなとよく言われている。私は、頭もそれほど良くないし、仕事の事も隠してる…勝ち目が、あるはずない。それを思うと…―。
大学のキャンパス。昼食時間のカフェテリアは、学生でごった返していた。人嫌いの秋人は、あまりここを利用することはないのだが…、なんとなく来てしまった。早くに来れば、人気の釜飯も手に入る。手軽な昼食をとりながら、周りの生徒達を見た。相変わらず、男子比率の高い学校だ。それでも、女子を相手に楽しそうに話すお洒落な男子生徒の姿があった。
「俺は、あんなじゃなかったな。」
今の秋人は、身体にもファッションにも相当気を使っている。これは、完全に昔のトラウマのせいなのだが…。双子の弟冬夜は、昔からバンドをやったり華やかで、ぱっとしない自分は、いつも比べられ馬鹿にされてきた気がする。
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