276人が本棚に入れています
本棚に追加
入ることの無かったアダルトコーナーに立ち入ると、目立つ新作のコーナーにアイツがいる。
「美月…。」
家に戻ったが、美月の姿が無い。用事、と言っていた。秋人は、借りてきたDVDをソファーに投げ捨てた。音を立てて、何枚ものアリスが散らばる。店員が呆れた顔でながめるのも気にせず、ただ、誰にも見せなくないという想いで何十枚も借りてきた。これは、嫉妬だ。アイツは、美月は今も誰かの腕の中にいるのだろうか。
「クソッ!」
ドンッと思い切り叩いたデスクから、ふと一枚の紙がヒラリと下に落ちた。
「秋人へ?」
美月、からなのか?
『秋人へ
秋人、今までありがとう。迷惑になる前に、出ていくね。秋人は、私みたいな人間と一緒に居ちゃ駄目だって分かってたのに、甘えちゃって離れられなかった。私は、汚れてる。だから、綺麗な秋人が眩しくて、見てるだけで嬉しかった。同じ場所に居られるだけで、満足だった。でも、これ以上一緒だと、ワガママ言っちゃいそうだから。秋人、大好き。好きだよ、とっても!秋人だけが、私を美月って呼んでくれる。見てくれる。触れて、くれる。だから、嫌われる前に消えるね。さよなら
美月より』
最初のコメントを投稿しよう!