†野良猫来たりて†

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何しろ、邪魔だったので彼女に触ってどかしている。この寒さで、万が一凍死でもされていたら、やっかいなことにならないだろうか?秋人は、もう一度駐車場へと引き返した。 「…おい、大丈夫か?」 「…さむ…い。」 彼女は、そのまま駐車場の隅にころがっていた。身体が、小刻みに震えている。どかすなら、もっと人目につく道路側に引きずっていけばよかったのかもしれない。小柄な身体をいっそう小さくさせて、猫のように丸まっている。警察でも呼んで、保護してもらうのが良さそうだが…。酔っ払いだ、シャワーでも浴びて暖めてやれば、目も覚めて自力で帰れるんじゃないだろうか? 「おい、歩けるか?」 「…うーん…。」 「仕方ないな。」 秋人は、ひょいっと彼女を抱きあげると、自分の部屋へ連れて行くことにした。エレベーターの中、明るいところで改めて彼女の顔を見た。美人、だ。まあ、そうでなければ拾わなかっただろうが。長い黒髪が、印象的だ。ときおり目をあけて、こちらを見ているようだ。少し、顔つきが日本人離れしている…ハーフかもしれないな。 「ほら、人目につくまえに入ってくれ。」 急いで玄関を閉めると、脱衣所に彼女をおろした。
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