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「…勝手に決めるな!」
秋人は、車のキーを掴むと勢い良く外へ飛び出した。
「別に、ヤってる真似でもいいんだぞ?まぁ、こっちとしては、本番やってくれるのは嬉しいが。」
「じゃ、いいんじゃない?」
「…途中で嫌だ、とか無しだぞ?」
「初めて撮る新人じゃないんだから、言わないよ。…はじめよ。」
何も考えたくない。キツい仕事を受ければ、何もかも忘れられる気がした。それに、これは自分への罰だ。汚してはいけない人に近づいて、自分のものにしようとした。愛されたいと、思ってしまった。壊れるくらいに責められれば…この想いも、砕けて消えてくれるかもしれない。
ドンッドンッドンッ!!
「分かったって!今開けるから落ち着け、兄貴!」
ドアを開けると、肩で息をしている秋人が立っていた。先程から携帯が鳴り止まなかったため、誰が来たのかは見なくても分かる。
「どうしたんだよ?オレ、今睡眠時間だよ??」
「冬夜!お前なら、美月の居場所が分かるんだろ?頼む、教えてくれ!!」
「…兄貴らしくないぜ?」
「しょうがないだろ。本気なんだ、頼む。」
「任せろ。大事な姫の居場所くらい、すぐに見つけるさ。」
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