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連れられて入ったのは、牢獄のような一室だった。そこまで広くはない部屋に、何人もの人が行き来している。“アリス”が、ぐったりしたままキツく拘束された紅い紐を解かれていた。ローションと汗にまみれて濡れた体に、打たれた紅い筋と紐の跡がくっきりと刻み込まれている。
「…帰るぞ。」
意識の無い壊れそうな身体をバスローブで包み、抱き抱えるとその場を後にした。
…暖かい。包み込まれるような、ぬくもりを感じる…。
「ん…。」
「気が付いたか。」
「え?!秋人、なんで?」「捕まえた。勝手に逃げるな、拾ったのは俺だ。」
バシャリと頭からお湯をかけられ、少しの痛みと共に、身体から泡が流れ落ちる。ここは、見慣れた秋人の家のバスルーム。いつもと違うのは、二人で一緒に居るということだ。
「洗えば、綺麗になる。汚れなんて、無いだろ?」
「あき…と。」
男の裸は嫌というほど見慣れているのに、妙に恥ずかしくて、どこに目を向けていいのか戸惑う。その様子を呆れたように笑われた。不意に、ひょいっと抱き抱えられそのまま浴槽につかる。向かい合う距離が、お互いの息遣いが分かるほどに近い。
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