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『ピピピピピ』
いつものように目覚ましが鳴る。止めようとしてのばした左手に、別の手が重なった。
「?!」
「おはよう。」
「!!」
昨日の“落とし物”が、隣に潜り込んでいた。しかも…。
「なんで、裸なんだ?!」
「服、泥だらけだったから洗っちゃったもん。」
「お、お前!普通知らない男の横に裸で潜り込むか?!」
「……。」
きょとんとした顔で、こちらを見ている。細く、華奢な身体だったが、意外に胸が大きい。起き抜けに見るには、刺激が強すぎるっ!
「少しは、隠してくれ。」
「え?あ、うん。」
彼女は、ずるずる布団をひっぱり上げた。
「ありがとう。迷惑かけちゃったね。」
「いや…俺は仕事があるから、服乾いたら適当に出てってくれ。オートロックだから、問題ない。」
「……うん。」
「?何か??」
「ううん、ありがとう。」
秋人は、あわてて寝室を出た。ジムに通って維持している、均整のとれた身体にスーツを着込む。仕事用の眼鏡をかけると、少しは動揺も落ち着いた。鏡には、いつもの神経質そうな顔が映っている。
「言っておくが、なんでも勝手に触るなよ。何か無くなっていたら、後で警察を呼ぶからな。」
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