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「ネエ?しばらく、ここに置いてもらえない?」
「?!駄目だ。」
「お願い!なんでもするからっ!」
「断る!知らないヤツを家にはおけない。」
「損はさせないからっ!本当に、なんでもシテいいから。」
「悪いが、俺は“潔癖”なんだ。色仕掛けで落ちるような、間抜けな誰かを探してくれ。」
「彼女とかいるから、駄目なの?」
「違う。軽率な行動は、とりたくないんだ。」
秋人は、美月から目を背けた。今にも泣きだしそうな顔をしている。まったく、突然何を言い出すかと思えば…何が気に入ったというんだ?
「金が無いとかなら、少しなら貸してやるから。」
「…お金なら、ある。居場所が、無いから…。」
消えそうな声。何故だろう?普段、他人のどんな仕草を見ても、何を聞かされても、同情することも助けようとも思わなかった。それが今は、彼女を前にしてほおっておけないと感じる自分がいる。秋人は、美月の頬に触れると言った。
「俺は、一人が好きなんだ。誰かにあわせたり、気を遣ったりは、出来ない。」
「隅に置いてくれるだけでいいよ。呼ばれなかったら、話し掛けたりもしないから。」
「…。」
「私、家事は得意。メイドとして棲ませて!」
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