彼岸花

5/14
前へ
/36ページ
次へ
聞き流したというのに。 だが、そのおもいとは裏腹に、見えてきた七ツ森古墳群に私はひきつけられるように、バイクの進路を変えた。 七ツ森彼岸花まつり。 手書きされた幕が入口に掲げられている。連休の始めのせいか、些か車が止まっているようだ。 その駐車場にバイクを止めると、古墳に向かう。 なんだろう……。 寒気がする。 すぐに真っ赤なそれが目に入った。目を奪われるような赤だ。 うわ……すご。 古墳の丸い膨らみを覆うように彼岸花が咲き乱れている。 艶やかな赤が、一面。 観光客もちらほらいる。 私は、何かに誘われるように、奥へと踏み行った。 何基かの古墳がある。七ツ森と言うぐらいだから、昔は七ツあったのだろう。 なぜか奥へと足を運ぶ。 そして、私は、立ち止まった。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加