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「何、見てる」
大分の訛りのないはっきりした声で、そいつは私にそういった。
見らずにはいられなかったのは、彼岸花にも負けない真っ赤な燃えるような髪。そして、見上げるような長身。
まるで……彼岸花の精。
「……聞いてるのか?」
「あ……ごめんなさい」
「お前……人間だな、どこから迷い込んできた?」
こちらを向く事なく妙なことをいった。
「無自覚か……、仕方ない……だしてやる。来い」
そういって振り向いた灼熱の髪の男は、私を見た。
怖いぐらい整った顔。日本人のようにも見えるが、違うようにも見える。いうならば、人離れしている。
あまりの迫力に、私は後にさがる。
「……、紅葉……?」
はっとしたのは私だけじゃない。灼熱髪の男も驚いた顔をして私の名を呼んだ。
私はこの人にあったことがあるだろうか?
いいや……ないはず。
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