彼岸花

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「また……迷い込んだのか」 また? 「あの……、会ったことありましたか?」 ふっと笑う。すると灼熱の髪が揺れた。 「……、さぁな。来い、俺の傍は怪がこん、外まで案内してやろう」 もののけ? 何行ってんのここは七ツ森……。 な……気がつけば、周りに人がいない。それどころかまだ昼過ぎだったというのに辺りは暗くなっていて、彼岸花が光をはなっている。 だから、私の周りは昼間のように明るい。 なにこれ。 「な……、」 「昔も危なかっしい子だったが今も変わらんな。お前は、人の子で人には近くなかった……だから嫁にと望んだのに、胡桃がゆるさなかった」 夢……そうか、私はあの縁側で眠ったんだ。じゃあお使いは? ……それも夢? 「あの……これは夢?私、買い物にいく途中で……バイクで……ばあちゃんに、ここの彼岸花が綺麗だってきいて」 「そうか……胡桃に言われて来たんだな。とにかくこっちに来い……夜は怪の宝庫だから」 灼熱の髪がまた揺れてにっこりと微笑み手を差し出すと、私は吸い寄せられるように、その手をとった。
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