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玲汰「父上…しっかりして下さい。」
半蔵「庵…」
庵は途切れ途切れの声で力を振り絞り語り始めた。
庵「玲汰よ…。
神が授けしその蒼き眼…
お前にはまだ秘めたる神の力がある……力に溺れず…弱き人々を…助けるのだ。『それが天がお前に与えし宿命…』」
玲汰「父上!父上ぇー!!」
庵は半蔵を見上げた。
庵「半蔵よ…私は…人間の欲望の…醜さに…耐えられなかった。…しかし玲汰と共に暮らす内に…人の優しき心は何物にも負けぬ事を…知った。」
半蔵「……。」
庵「私となしえなかった…夢を…紅き眼を持つお前と蒼き眼を持つ玲汰とで…なしえて…くれ……玲汰を頼んだぞ…。」
半蔵「あぁ…分かった。」
ゴホッゴホッ…
庵「玲汰…今まで……あり…がとう……。」
ドサッ…
玲汰「父上っ…父上ぇー!僕はまだまだ貴方に教わらなければならない事があるんだ!眼を覚まして下さい!!父上……」
半蔵「玲汰…お前の父上は素晴らしき男だった…。」
玲汰は半蔵を見上げた。
半蔵の顔は歪み、堪えきれない涙が溢れ出していた。
半蔵「玲汰よ…夢を叶えに行くぞ……。」
玲汰「はぃ…。」
こうして玲汰は戦乱の世に身を投じて行くのだった…。
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