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鈴「玲汰ぁ~早く早くぅ!ここを登れば到着だよっ!?」
鈴はさすがにこの地で育っただけの事はある。
玲汰も幼少の頃から人の域を超える様な鍛練を続けてきたにもかかわらずこの木と岩が無数に入り交じる地では鈴についていくのがやっとである。
玲汰「ハァハァ…。鈴さんここは?」
玲汰は途切れ途切れの声で鈴に尋ねた。
鈴「ここはね私のだぁ~い好きな場所なの!」
と言うと鈴は前方を指差した。
玲汰「……。」
玲汰は息を飲んだ。
鈴が指差す方に視線をやった玲汰は今まで感じたことがない程の気持ちの昂揚を感じていた。
玲汰の眼下には伊賀の深緑な大自然、清き河の流れ、その中でたくましく生きていく人々の文化…全てが合わさってこその景色が一望出来たのだ。
玲汰「すごい…。」
玲汰は言葉が出てこない…。
鈴「すごいでしょ…。」
鈴「…ここに来れば自然という絶対的なものの中で、もがき苦しみながらも着々と文化を築いてきたからこそこの景色、幸せがあるんだと思うとまた頑張ろう!って気持ちになれるんだ…。」
玲汰は鈴の横顔がとても寂しくみえた…。
その空気をさっしたのか鈴は慌てて先程までの明るい鈴に戻った。
鈴「玲汰ぁ~!次はアタシの友達紹介してあげる!?いこぉ~!」
と言うなり鈴は山のふもとを目指して駆け出した。
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