~序章~

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武士A「何処にいった!絶対逃がすな!!」 武士B「逃がしたら我等の首がなくなるぞ!なんとしても探し出せ!!」 人気もなくなった山中に大きな怒声が鳴り響く。 なにやら甲冑に身を包んだ数人の武士達が人を追っているらしい…。 傷付いた男「クソ。この足ではもはや限界か……。ハァハァ……あっ、あそこに人がいる…。」 一人の男が髪はボサボサ体中ドロドロになり傷付いた脚を引きずりながら近付いてきた。 傷付いた男「!!そ、そこの御方!しばしかくまってくれまいか……訳あって追われている…。しかし私のこの脚ではもう逃げるのは無理だろう。お願い申す…」 男「この子は…!」 男はこの傷付いた男に大事そうに抱えられている赤ん坊の力強き蒼き眼に吸い込まれた。 男「入りなされ…。話を聞こう。」 傷付いた男「かたじけない…。」 部屋に入り傷付いた男に目をやると、いましがたどれだけの修羅場をくぐり抜けてきたか一目見ただけで分かる程の傷付き様である。 男「その赤子のその眼……蒼眼(レイガン)じゃな。」 傷付いた男「!!何故それを…。」 男「追われておる訳を聞かせてくれまいか?」 傷付いた男は息絶え絶えに自分は来栖(クルス)の家老であること。赤子が殿の御子息であること。来栖(クルス) が滅ぼされたことを語りだした。 … …… 男「とうとう来栖(クルス)も落ちたか。その赤子の名は?」 家老「玲汰様と申す…。」 男「玲汰か…生まれながらに重き宿命を背負ったものだ。」 その時だった…。 武士A「見つかったか!?ん、あっちの方に足跡が続いておるぞ!」 武士B「あの怪我ではそう遠くへは行けぬはず…なんとしても捜せ!」 武士達の怒声が段々と近付いてくる。 滅ぼした国の跡取りは消しておかねば後々命取りになるというのが戦国の常識で在るが故必死である。 家老「ここまでか…玲汰様を頼みます。玲汰様は世界を変えるお方です………」 男「分かった。この子は私が責任持って育てよう。」 家老「かたじけない。名はなんと申す?」 男「庵(イオリ)だ。」 家老「庵殿か…玲汰様を頼みましたぞ!!」 ガラガラ… 家老は家を飛び出し武士達の方へ向かって行った。 武士B「居たぞ!!奴だ!」 武士A「殺せぇ~!」 … …… 武士A「てこずらせやがって…。クソ!赤子が見当たらん捜すぞ!」 家老「玲汰様どうかご無事で……」 ズサッ………
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