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…二人は家の前の広場に対峙していた。
二人を包む優しい木漏れ日も風もこの時ばかりは震えているようにさえ感じられた。
このピリピリした空気を切り裂くべく庵が重い口を開いた…
庵「玲汰よ。さぁ来なさい!」
それに玲汰が答える…
玲汰「玲汰参ります!いざ尋常に勝負なり!!」
そう言うと玲汰は庵の懐に飛び込んで行った。
玲汰「でぇぇい!」
玲汰の左拳が当たったかに思えた瞬間…
ズバッ!
玲汰の頬から赤き鮮血が流れ落ちた。
庵は当たる瞬間に身を翻し目にも写らぬ左拳を放ったのである。
庵「玲汰よ。これからお前をまち受ける宿命には一切の情を捨てなければならぬ時が来るであろう…そんな優しき拳では私には掠る事もできまい!私を殺す気で打って参れ!!」
庵は悟っていたのだ!玲汰がすでに自分の力量を遥かに越えていること。己の優しすぎる心により自らの眠りし力を出せずにいることを。
玲汰「僕には父上を傷つけるような事は出来ません!」
なんとも優しき子よのぉ…しかし、このままでは宿命により玲汰自信が滅びてしまう…庵は唇を噛み締めた。
庵「私はお前を殺す気で行く…死にたくなければ私を倒せ!」
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