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朝早くから聞こえる母さんの怒声の嵐と、罵声を浴びせられている父さんの声。
もう日常的だから、今更止める気にも成れない。
そんな事を考えながら、布団から出れば、既に時計の針は9時半を差していた。
「……やばっ!!」
遅刻と言う現実に、嫌でも意識が覚醒し、慌てて着替えて洗面所に行き、リビングへと掛ける。
「何で起こしてくれなかったんだよ!!」
怒鳴りながらパンをくわえ、母さんを睨み付けた。
「あら、優里斗。おはよう」
先程まで、罵声を浴びせていたとは思えない表情で、オレに微笑んだ。
正直、怖かった。自分の睨み等……可愛いものだろう。
「おはよう、じゃねぇよ!もう完璧遅刻じゃん!」
ヒステリックに喚き散らせば、母さんは相変わらず笑みを浮かべたまま、有り得ない事を口走った。
「なら休みなさい。学校には連絡いれておくから」
なっ、アンタはそれでも一親か!?
父さんに目を向ければ、苦笑を返された。
「優里斗、行くなら行きな?」
それだけ言い、父さんは口を閉じる。
今言える事は、オレの登場により、喧嘩が一時的におさまったと言う事。
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