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「ゴホッ、ゴホッ……」
咳き込む雪海と、オレの顔にかかったお茶。
「ごめ……本当ごめん。優里斗くんが笑わせるから……」
雪海はプクク……と笑いを堪えながら、オレの顔をハンカチで拭いてくれた。
幸いあんみつにはかかっておらず、オレは安堵の溜め息を吐きながら、雪海に苦笑を浮かべる。
「想像出来ちゃったのか」
「うん、肥えた七海……くすっ」
二人でクスクスと笑えば、七海に殴られた。
「いたっ!!この暴力魔!!」
「煩い、馬鹿!!」
お互いふんっと顔を背け、黙々とあんみつを食べる。
全部食べ終わる頃には、胃が気持悪く成っていた。
「何かオレ……吐きそう」
うぷっ……と手で口を押さえれば、結羽汰さんがヤダッと言いながらオレとは違った意味で、口を押さえた。
「悪阻!?」
「結羽汰さん、多分……てか、絶対に違うと思う」
冷静に言えば、結羽汰さんはヘラッと笑いながら、冗談だよと呟いた。
「七海、もう直授業始まる」
雪海はそう言うと食器の乗ったトレーを持ち、七海に声をかける。
「馬路?やべっ……」
焦りながらあんみつを掻き込む七海を、雪海が早くと急かす。
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