story4

14/16
前へ
/169ページ
次へ
「ゴホッ、ゴホッ……」  咳き込む雪海と、オレの顔にかかったお茶。 「ごめ……本当ごめん。優里斗くんが笑わせるから……」  雪海はプクク……と笑いを堪えながら、オレの顔をハンカチで拭いてくれた。  幸いあんみつにはかかっておらず、オレは安堵の溜め息を吐きながら、雪海に苦笑を浮かべる。 「想像出来ちゃったのか」 「うん、肥えた七海……くすっ」  二人でクスクスと笑えば、七海に殴られた。 「いたっ!!この暴力魔!!」 「煩い、馬鹿!!」  お互いふんっと顔を背け、黙々とあんみつを食べる。  全部食べ終わる頃には、胃が気持悪く成っていた。 「何かオレ……吐きそう」  うぷっ……と手で口を押さえれば、結羽汰さんがヤダッと言いながらオレとは違った意味で、口を押さえた。 「悪阻!?」 「結羽汰さん、多分……てか、絶対に違うと思う」  冷静に言えば、結羽汰さんはヘラッと笑いながら、冗談だよと呟いた。 「七海、もう直授業始まる」  雪海はそう言うと食器の乗ったトレーを持ち、七海に声をかける。 「馬路?やべっ……」  焦りながらあんみつを掻き込む七海を、雪海が早くと急かす。
/169ページ

最初のコメントを投稿しよう!

914人が本棚に入れています
本棚に追加