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何時も通り部活やって、生徒会やって……家に着いた頃には午後七時を回っていた。
玄関に入って靴を見れば、優里斗と雪の靴が転がっていた。
俺はそれを綺麗に並べ、自身もまた靴を脱ぐ。
「ただいま」
普段と何ら変わりの無いこの動作。違うのは、“優里斗”がいる事。
父さんの愛人の子供だとかで、家に転がりこんで来た。
しかしながら、実際血の繋がりは無く、愛人側の子供で有るだけで未だ……父さんの子では無い。
「あ、七海おかえり」
リビングの扉を開けて直ぐ飛込んで来た、優里斗の笑顔。
初めて見た時から、俺はこの笑顔に毒されていた。
言うなれば、中毒。気付かぬ内に……優里斗と言う名の麻薬にハマっていた。
何て、柄にも無い事を考えていれば、何時の間にか帰って来た父さんに、後ろから抱きつかれ、背負い投げをする。
「酷っ、七海の意地悪!!」
「気持ち悪いんだよ!!」
優里斗なら良かったのに、とか思いながら父さんを睨めば、雪に羽交い締めにされる。
「七海、どーどー」
「俺は馬か牛かっ!!」
雪から逃れようと暴れていれば、優里斗と父さんは仲良くお茶を飲んでいた。
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