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何だかんだで、ババヌキをやる事に決まり、オレはベタにも程が有る最後二枚に苦戦していた。
「どっちにするんだ?」
優里斗くんがわくわくとした表情で、オレがカードを引くのを待つ。
「うーん……」
右か左か、直感で引くしか無いのかと思いながら唸る。
「はーやーくー」
急かす優里斗くんに、慌てるオレ。
きっと此れは、優里斗くんの作戦だったに違いない。
急かされたオレは誤った判断により、見事ジョーカーを引いた。
「やりっ!じゃあ、お先にあがりっ」
半放心状態だったオレは、ジョーカー片手に固まっていた為、優里斗くんに残りカードを取られた。
「卑怯者ー……」
そう言い優里斗くんの方へ飛び掛れば、バランスを崩してしまい、覆い被さるように成った。
「うわっ!!」
「優里斗くんの卑怯者ー……」
オレは結構根に持つタイプらしく、優里斗くんを抱き締めながら卑怯者を連呼する。
「策士と呼べ!」
「何か優里斗くん……七海みたい」
ボソリと漏らせば、脇腹を盛大に擽られた。
優里斗くんと同じで、オレの弱点もまた脇腹なのだ。
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