これまでも、これからも、

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  それからは、 一緒に夕食を作ったり、 必要以上にべたついたりして、 普段ならお互いに照れて なかなかでけへん 甘い時間を過ごした。 そして、だいぶ 夜も更けてきた23時前後。 2人ともソファに腰をかけて、 のんびりした雰囲気が 俺らを包み込んでる。 そんな静かな空間に響く音は テレビから聞こえる、 トーク番組の笑い声のみ。 こういう静けささえ 心地よく感じるんやから‥、 好きな人と一緒に居るのは 苦痛じゃない、 なんちゅう、ベタな恋愛小説の一小節がよお理解できるわ。 「‥‥‥」 「、ひなくん?」 その空気をひとり感じていたら 不意に俺の手に、 ひなくんの手が重なって‥‥ 「‥誕生日、おめでとお。」 顔をあげて見たら、耳を赤くして優しく微笑むひなくんと 目があった。 「ありがとうございます、」 そう言って 重なった手を繋いでみたら、 ひなくんは繋いでない方の手で 俺の髪を、乱れるくらい くしゃくしゃっと撫でてきた。  
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