しあわせバカ

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  「信五さん、 僕、めっちゃ幸せです。」 思ったことは言葉にせなあかん質やから、そう、口にした。 僕の想いが、ちゃんと伝わってるのか、はたまた聞き流してるだけなのか、分からへんけど、 向こう側の人は、小さく「‥そう。」と、相槌をうっただけ。 一回、言葉を口に出したら、 今度はどんどん、伝えたいことが浮かんできてまうもんで‥ まるで、勝手に 口が動いてるみたいやわ。 「26歳、最初のお祝いが、 信五さんやからですよ?」 「‥おん、」 「普段はこんなん、絶対してくれへんやろうに‥‥、 めっちゃ、ほんまに 嬉しなってもうて。」 「‥ん。」 「ほんまに、幸せなん。 こう、うまく言えへんけど‥、」 「ん‥。」 「‥やっぱり、めっちゃ、 好きなんやなあ。って。」 「‥‥‥そう、」 好き、好きです。 電話じゃ、伝わってるのか 少し、不安なんですよ? 裕ちんみたいに 言葉がうまい訳やないし、 たつよしや亮ちゃんみたいに 男前に言えるわけでもない。 態度で示すことしか、 できひんから。 「なあ。信五、は?」  
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