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そうして俺は、葵と同じ部屋で一晩を過ごす事になった。
現在、部屋で二人。会話はほとんど無い。いつもはうるさいくらいに喋っている葵が全く口を開かない上に、俺が何を話しても「あ、うん、そうだね」と赤い顔で言うだけだからだ。調子が狂うったらありゃしない。
まぁその理由は部屋にあるとしか思えない。この部屋、ダブルベッド一つしかねぇ。
どういう事だ、と憐に直談判しに行ったが、「他の部屋も一緒だぞ?」ときょとんとした顔で言われ、もう何を言っても無駄だと悟った。
「あー、葵……?」
「な、何?」
いやでも、流石に寝るだけとはいえ、ここまで会話が無いのは気まずすぎる。
だから別に俺の事は気にするな、ってのはちょっとおかしいけど、そんなに意識しなくていいぞ、と伝えるために名前を呼んだが、その途端にびくりと肩を震わせて振り返る葵。……俺、そんなにがっついて見えるんだろうか。
「……んーと、ただ一緒のベッドで寝るだけだし、そんな意識しないで大丈夫だぞ。別にそんな、その、お前とそういう事したくて堪らないとかじゃないから安心しろ」
まぁ年頃の男だし、警戒されても仕方ないのは分かる。それにこんな事を言ったところで、信用ならないってのも。それでも一応、俺にはそんな意志は(あまり)無いんだって事を知って欲しかった。
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