第2章

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目の前には女の子がいたー。 『探す幽霊』の女の子だ。 胸の鼓動が早くなる。 「あ…あの…」 話しかけると幽霊は僕を見つめた。 相変わらず悲しそうな目だ。 「記憶を探してるって言ったよね?それってつまりどういう……」 「私は…」 最後まで言わないうちに幽霊が話し始めた。 「私は…自分の記憶がないの…。自分の名前さえわからない…。だから探してる…」 「自分を知りたいの?」 思わず聞いてしまった。 「知らなきゃ成仏できない…何か重要なことを…忘れている気がするの。だから…お願い…探して」 記憶がないと成仏できない? 未練があるってことか…? しかし…。 「何で僕なんだ?」 言葉足らずかもしれない。 しかし、幽霊は質問の意味をわかっていたようだ。 「あなたがいい…あなたじゃなきゃダメな気がする…」 その言葉は何故か僕の心に大きく響いたー。 (僕じゃなきゃ…) そう思うとさらに胸の鼓動は早くなる。 「…わかった。探すのを手伝うよ」 思わずその言葉が口から出てしまった。 しかし、幽霊の目は途端に輝きだした。 その目を見ると何故か僕の胸は高鳴るー。 「ありがとう…」 幽霊から出たその言葉が何よりも嬉しかった。
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