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「無駄よ…彼には見えていないわ」
幽霊が言った。
僕はその言葉を疑ったが、その通りだった。
「何もないじゃないか」
圭介が不思議そうに言ったのだ。
「そんな…確かにここにいるんだ!」
僕は叫んだ。
このまま圭介に裏切られたと思われたくない。
「無駄なのよ…あなた以外に私を見ることができる人はいないの」
「どういう意味だよ!」
僕は幽霊に向かって怒鳴った。
「私にだって分からないわ…ただ、あなたは他の人とは何か違うの。だからあなたに手伝って欲しいって言ったのよ」
よく分からないが、僕は幽霊にとって『特別』なようだ。
しかし、それでは圭介にどう話していいのか…。
僕は困惑しながらただ立ち尽くしていた。
その姿を見て不意に圭介は喋りだす。
「亮太…俺には幽霊なんて見えないけど、お前の言ってることは信じる。嘘をついているようには見えないし…なんてったってお前は親友だからな!」
「圭介…ありがとう」
嬉しくて涙目になる。
「おい、泣くなよ?」
圭介は笑いながら言った。
「…泣くかよ!」
涙を流さないように上を向いて涙を飲み込む。
「でさ、幽霊ってどんな奴なんだ?そこだけ教えてくれよ」
僕は幽霊を見ながら答える。
「え?あぁ…女の子で多分僕らと同い年か一歳年上か…この学校の生徒だったんじゃないかな?制服も同じだし、制服の赤いリボンが目立つ可愛い子さ」
そこまで言うと圭介は僕に疑いの眼差しを向けて言った。
「制服の赤いリボン?何言ってんだよ。この学校の女子の制服に赤いリボンなんてないぞ」
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