第1章

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ギィィ…。 ドアを開けて見えたのは、空。 何も、ない。 ましてや幽霊なんて…。 「圭介…いないぞ」 「まだ来たばっかじゃねぇか!昼飯でも食いながらゆっくり探そうぜ」 諦めの悪い…。 あぁ、でも『探す幽霊』を探すって面白いような…。 はは、少しはやる気出た。 「とりあえず、飯食うぞ」 とりあえずフェンスのあるところまで来て、座って弁当を広げ始めた。 弁当を包んでいる布がはためく。 「屋上はやっぱ風強いなぁ」 独り言を呟いた。 「はぁ?今日は風なんてないけど…」 圭介が反応してきた。 「え?だってほら…」 「何がほらなんだよ。弁当の自慢か?確かに美味そうだけどな」 布は広げた状態のまま動いていなかった。そんなはずは…いや、気のせいだったのかも。 「まぁ、いいか」 とりあえず食べよう。卵焼きに箸を伸ばそうとしたが、思い出した。 「圭介…卵焼き好きだったよな?食うか?」 圭介に卵焼きを差し出す。 「嫌がらせ?俺こっちなんだけど…」 「え?」 おかしい。確かに右側にいた気がしたが、圭介は左にいた…。 「亮太今日ちょっとおかしいんじゃねぇか?」 「あぁ、自分でも思うよ…」 というか、ここは何かおかしい。屋上に来てから何か落ち着かないんだ。 まるで何かが呼んでいるような…。
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