第1章

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声の主は、圭介ではない。 赤いリボンをしているセーラー服の女の子。 年齢は多分僕よりは一つ上だと思われる。 しかし、その女の子は透けていた。 実体がない。 「探して…」 ふいにその女の子が話しかける。 (探す…幽霊だ!) 僕は慌てて圭介を見る。 しかし、圭介は何の反応もない。 どこか別の場所を見ている。 「け…圭介…」 「どうした?」 「そこ…」 僕は幽霊を指さした。 「?何もないぞ。お前本当にどうしたんだよ…」 圭介には見えていない? 「お願い、探してほしいの…」 幽霊は僕だけに話しかけている。 「何を…探しているんだ?」 おそるおそる聞いてみた。 「何をって幽霊だろ!」 圭介のことは無視して幽霊の声を聞いた。 「私が探してるのは…自分の記憶。私は自分が誰か…わからないの…。自分が誰か知りたいの…」
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