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声の主は、圭介ではない。
赤いリボンをしているセーラー服の女の子。
年齢は多分僕よりは一つ上だと思われる。
しかし、その女の子は透けていた。
実体がない。
「探して…」
ふいにその女の子が話しかける。
(探す…幽霊だ!)
僕は慌てて圭介を見る。
しかし、圭介は何の反応もない。
どこか別の場所を見ている。
「け…圭介…」
「どうした?」
「そこ…」
僕は幽霊を指さした。
「?何もないぞ。お前本当にどうしたんだよ…」
圭介には見えていない?
「お願い、探してほしいの…」
幽霊は僕だけに話しかけている。
「何を…探しているんだ?」
おそるおそる聞いてみた。
「何をって幽霊だろ!」
圭介のことは無視して幽霊の声を聞いた。
「私が探してるのは…自分の記憶。私は自分が誰か…わからないの…。自分が誰か知りたいの…」
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