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『俺の名前は』
「や、だめだ…げほっげほっ」
「はははー!お前弱いなぁ」
「喧嘩には自信あるんだけどねぇ、あー、横っ腹が痛い。嵐くんこそ元気じゃない?」
「ん?ああ、毎朝走ってるから」
「だからそんな筋肉あんのね」
ちょっと感傷に浸りながら、俺は木陰に座り込む。
体育の持久走ほど、俺の苦手なものはない。
持久力はあるほうなのだが、低血圧のため寒さに弱いのだ。
ましてや今は12月。
上下青いジャージがさらに寒さを増幅させる。
「うぃー!もう走れましぇん!」
「涼くん、あんたまだ二週目じゃん」
「お前らが走るの速いんだってーの。運動変わりに五週ってひどくね?」
「…まぁ、いいんじゃない?」
最近、涼くんはやたらと絡んでくる。
涼くんとは席が近くて話をするぐらいで、タイプは全然違う。
涼くんはワルモノっぽい、今時系な奴らとつるんでいたのです。
「坂本ー、とっとと走れよ!ファイトー」
「九条に言われるとなんかムカつく」
「えー、なにそれなにそれ!お前からも何か言えよ!」
「涼くん、これ以上落ちえない、いや、落ちるすべもない体育の成績を枠外に放りたくなきゃ走れ」
「…はい」
「お前って…」
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