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『スクールライフ』
「マジありえねぇ!」
「どしたん、嵐くん?」
「知ってた?来週テストだべ?」
「知ってる知ってる。そんなこと、みんな周知の事実だ、アホ」
「グサッ!アホってゆうなよ!」
キーキー子猿のように泣き喚く嵐くんを横目に、俺は涼くんの机で勉強中。
「どーしよ、マジやばっ!」
「取り敢えずセフレと会うのよせば?」
「うん!そーするっ」
有言実行とばかりに、嵐くんは携帯片手に廊下にでてった。
騒がしい奴。
「何?九条マジうるさかったんだけど」
俺が使用中の机の持ち主、涼くん覚醒。
寝てたのよ、この人。
「来週のテスト知らなかったんだって」
「男色故に?馬鹿じゃね?」
「男色は関係ないと思うよ?嵐くんはただの馬鹿だ」
「それはフォローなのか?貶してんのか?」
「俺なりのフォロォ」
そ、俺なりの。
涼くんが嵐くんのことをそういう風に見ているのは知ってる。
ううん。クラスメイトも皆嵐くんを気色悪いって言う。
でも、嵐くんはユニークキャラとして愛されてるんだ。
けして嫌ってるわけじゃなく、ただ対応に困ってるだけ。
そんな皆を悪く言うことも、嵐くんを悪く言うことも、そんな権利は持ち合わせていないもん、俺。
「そっかそっか。可愛いやつだな、お前」
「俺が?つっぱりにむかって可愛いとは…」
「つっぱりって…ヤンキーだろうが、お前。むしろギャング。お、九条戻ってきたみたいだ」
涼くんの言葉に、後ろを振り替えると、抱きついてきた嵐くんの頭とぶつかった。
ごめん、嵐くん。俺、石頭だった。
「いでっ!いきなり振り向くなっ」
「嵐くんが飛び付いてくるから悪いんです。あ、たんこぶできてる。ごめんね?」
「ん。大丈夫。あ、お前勉強できるよね?坂本も」
「おーすげぇ、九条がオレのこと呼んだー!」
「…そりゃあクラスメイトだから呼ぶだろ、馬鹿っ。あ、嵐くん。勉強なら教えないよ」
「えー!なにそれなにそれっ!坂本~!」
手を組んで懇願する嵐くん。
あー、可愛い。
ちょー可愛い。
けど、ここは俺の出る幕ではないね。
「オレっちでいいなら、九条!」
「おう、よろしく!」
腕をがっちり組む二人ですが。
実は坂本涼くん。
あなたが嵐くんの二番目のお友達。
どうか嵐くんを裏切らないで。
嵐くんの第一歩を、大切にしたいから。
嵐くんに、人間らしさを教えたいから。
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