君と俺。

9/17
前へ
/17ページ
次へ
『午前四時』 「にゃん」 「……。嵐くん、君、それなんなの?俺を煽ってるわけ?」 俺の額に青筋ピクリ。 思わず殴りたくなるような嵐くんを見ての反応。 「あひゃひゃひゃひゃっ」 隣では涼くんが腹を抱えて笑う。 その行動もムカつく。 「なぁ、今何時だと思ってるわけ?」 真夜中、一人暮らしの俺の部屋に侵入してきた二人に、頭を抱える。 「午前三時四十五分」 猫耳をつけた嵐くんが、にゃーと言いながら俺に抱きついてくる。 可愛いな、ちくしょうっ! 「何しにきたんだ…」 俺は眠いぞ。寝かせてくれないか。 「あーん?まぁまぁ、世界で一番幸せ者のお前にプレゼントだな」 「プレゼント?俺に?涼くんが?」 「九条もだよ、な?」 「そーそー」 ちょっと待てー! 俺は今、睡眠をプレゼントされることが、世界で一番幸せだ! ふぁっ…マジやべぇ。 「ちょっと、寝ないでよ!」 「無理ィ。マジ眠いから」 「なにそれなにそれ!寝るなー!」 「そうだ、もうちょっと待て!」 とかなんとかいいつつも、涼くんは四字固め、嵐くんは首締めを俺に技かけしている。 ぷ、プレゼントってこれかぁ!? 明らかに俺を殺すきだな、ぐっ! この体制のまま、しかし抵抗しながら、削られる睡眠時間と体力をうらめしく思いながら、俺は嵐くんと涼くんに拘束されていた。 カチッ 「おめでとう!」 「16歳おめー!結婚できんじゃね?オレっちとする?」 時計が午前四時を指したその時、身体は解放され、今度は驚きが俺のこころを支配した。 「え、マジ?わぁ…サンキュ…」 きっと真っ赤になっている顔を両手で隠す。 嗚呼、恥ずかし。 って… 「男子は18歳にならなきゃ結婚できないよ。なんで涼くんと結婚しなきゃいけないの、馬鹿」 「あらぁ?そうだっけ?」 ぽやーんと惚けた涼くんとくだらない会話をしていたら、背中にずしりと重みを感じた。 「…嫌わないで。…好き…しゅき…」 「え?」 涼くんまたもや間抜け顔。 大丈夫。 君が思っているより、俺は嵐くんが大好きだよ。 背中に嵐くんを、膝に涼くんを乗せたまま、俺は眠った。 朝起きたら全身痛かったのは言うまでもなく。 それでも安心してしまう俺は、きっと世界で一番の幸せ者だ。 .
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加