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「 館長さん、趙雲さんが、お茶にしませんかって 」
瑠璃は、マスターから受け取ったお盆を、男の人の側のテーブルに置く。
その音と、瑠璃の声に、
「 館長さん 」
と呼ばれた男の人が振り返った。
男は、手に持っていた絵筆とパレットを椅子の上に置き、ポケットから取り出した、蝶の模様のハンカチで軽く手を拭う。
テーブルの上のお盆を見ると、顔を綻ばせ
「 ローズティですか。いい香りだ。瑠璃ちゃん、趙雲さん、いつもありがとう 」
と、言った。
「 いえ…。お客様の好みを覚えて置くのも、大切な仕事ですから 」
瑠璃は少し照れつつ話す。
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