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張こう の大声に驚いた瑠璃達が、一斉にその方を見る。
「 私の絵に… 絵に…!! Y(>_<、)Y 」
描きかけのキャンバスの上には、銀杏の葉が何枚か。
べったりと張り付いていた。
それも、水彩画ならばともかく、張こうが描いていたのは油絵である。
油絵の具は、水彩絵の具に比べて乾きが格段に遅く…。
まだ乾ききらない絵の上に張り付いている銀杏の葉は、取り除いても、元には戻らず、もう一度、その部分を描き直さないとならない事は、わかりきっていた。
「 永くん!! 」
張こう の怒りは、側で遊んでいた永に向かった。
怒る声にビックリした永は、
「 う…うわーん!! (>_<) 」
と、大声で泣き出し、父の劉備にすがりつく。
「 ぼく… やっちぇないもん。やっちぇないもん 」
「 ああ。永は悪くないよ 」
劉備がそう言って永を宥め始めたのには、きちんとした理由があった。
銀杏の葉が張り付いている場所は、明らかに永の手では届かない場所だったのだ。
「 館長さん!! 」
瑠璃と趙雲が、張こう を睨みつけた。
「 あの銀杏の葉は、永くんのイタズラだと言いたいわけ? 」
「 しかし…あの時、キャンバスの側には永くんしか…(-o-;) 」
「 永くんの手は、あそこまで届かないですよ 」
「 椅子の上に立ってやったのじゃあ… 」
「 永くんがキャンバスにイタズラ出来る場所に、椅子、ある? 」
「 う… な…ない… 」
二人の剣幕に、張こう はタジタジである。
と、そこに…
「 こんちわー 」
と、脳天気な笑顔で顔を出した男が一人。
輸入雑貨店
『 レッドシダー 』
のオーナの孫策である。
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