ある、無双高原リゾートの1日

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4:30 涼谷牧場(すずやぼくじょう)   「従兄上!!従兄上!!起きて下さい!!」   無双高原リゾートの一角にある牧場 涼谷牧場 の朝は、この声から始まる。   「岱…。後、5分…後5分寝かせてくれ」   布団をかぶったまま、従兄弟の馬岱にそう言っているのは、この牧場の長男で、跡取り息子の馬超。 字(あざな)は孟起だ。   「ダメです。従兄上!!」 「頼む!岱。昨夜は、飲み過ぎて…」 「っつたく、あれほど飲み過ぎないでと言ったのに…」 「すまん。岱。子龍(趙雲の字)と一緒だと、つい飲み過ぎちまうんだ。だから、頼む!後5分!」 「従兄上!! 伯父さんは、もうとっくに厩舎に行っているんですよ! それに今日は、馬のメグの出産予定日で…」   馬岱がそう言った途端! 馬超は、ベッドから跳ね起きた。 乱雑にパジャマ代わりのジャージを脱ぐと、ハンガーに吊してあるツナギに袖を通す。   「岱!!メグの様子はどうだ?」 「さっき厩舎を覗いた時には、変わりはありませんでしたけど…」 「なら、まだ少し時間はあるな!」   キャップと長靴に身を固め、従兄弟の馬岱と一緒に、馬超は母屋から厩舎へと向かった。 ちなみに、馬超が起床してから厩舎へと出かけるまでの時間、 約3分。 そんな馬超の様子を、馬岱と、馬超の父で牧場主の馬騰の二人が 『カップヌードル』と、呼んでいる事を、馬超はまだ知らない。
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