最後のメッセージ

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「わぁ~綺麗!素敵な眺め!」 何時の間にか駿の先を歩いていた奈央が、肩で息をしながら感嘆の声を上げた。 開けた視界の先には村の全貌が見渡せ、丁度田植えが終わった緑の稲の青が鮮やかに広がっていた。 二人は草の上に腰を下ろすと、暫く無言でその景色を眺めた。 風が行き過ぎ、奈央の胸元から微かな石鹸の香りがした。 駿は傍らの奈央の手を取った。 奈央は駿の顔をちらりと見て微笑むと、その手を握りかえした。 「私達…遠回りしたのかな…?」 「えっ?」 駿は、奈央の唐突な質問の意味が始め分からなかった。
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