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「色々な事があったけど……やっぱりこうなるのが俺達の運命だったのだと思うよ…」
駿は静かに答えた。
「うん…そうだね…。
結局は、誰しも懸命に選択しながら生きているけど、それは決められた運命へと導かれているのだと思う…。
私の病気も…」
奈央はそう言いかけて口をつぐんだ。
「奈央…」
駿は奈央が何を言いたいのか、繋いだ手を通してその痛みが伝わってくるようだった。
「駿…」
「ん…?」
奈央は改まった様にして真っ直ぐ駿を見た。
「生きているうちに言っておくね…。
私は、あなたに巡り逢えて幸せだった。
あなたを愛せた事を命が尽きても忘れない…」
「奈央…」
駿の瞳に映る奈央の顔がゆっくりと涙で歪んだ。
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