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「奈央…奈央は死んだりしないよ…手術は絶対成功するから!先生だってそう言ってただろ?」
駿は泣き笑いの様な顔をして言った。
「うん…分かってるよ…。手術は成功すると思うけど、私の身体は癌に侵されてるからいつどうなるか分からないから…。
何時かは……駿と分かれなければならない時がくる…」
「奈央…」
「最近、泉さんの事をよく考えるの…」
「泉の…?」
「ええ…泉さんは死を前にして、どうしてあんなに強くいられたのか…。
どうしたら、泉さんの様に自分を無に出来るんだろう…って……。
だって、私はあなたと離れるのが辛い……。
皆と分かれるのがとても悲しい……寂しさに狂いそうになる…」
そう言った奈央の瞳から、涙がポトリと繋いだ手の上に落ちた。
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