最後のメッセージ

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駿には、奈央の心の痛みが自分の痛みとして迫り、胸を締め付けられる様に苦しかった。 悲しむ奈央にかける言葉がうまく出てこなくて、駿は奈央の身体を引き寄せて、ありたけの優しさを込めて胸に抱き締めた。 「奈央…死は別れじゃないよ…奈央はどんな事があっても俺の中から消える事はないから…」 耳元で駿の囁く声に、奈央は嗚咽を洩らした。 「奈央が病気であろうとなかろうと、何時かは死を迎える時が来る。 もしかしたら、俺の方が早く逝ってしまうかも知れないよ」 駿は口元に笑いを浮かべて言うと、駿の腰に回された奈央の手に力が籠った。
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