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奈央の手術は無事に終わった。
危惧していた様な事は何もなく、奈央は順調に回復した。
桜が散り、新芽が顔を覗かせ、白い木蓮の花が庭先に満開になり、季節は緩やかに時を刻み移っていった。
日々は規則正しく、滑らかに、何事もなく流れていった。
それは、二人にとっても、家族にとっても穏やかで生きる幸せを噛みしめるに十分な日々だった。
ごく普通のありふれた家族の風景だったが、奈央達家族にとっては宝石より煌めく時間だった。
奈央はその与えられた時を無駄に過ごさぬ様に、いつかくるその時の為に、心に家族の姿を刻み過ごした。
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