11297人が本棚に入れています
本棚に追加
「おばあちゃん、はい」
庭先のテラスの椅子に座っている奈央のところに、心優が手に菜の花を持って息を切らして駆けてきた。
「まぁ、綺麗ね。ありがとう、心優ちゃん」
奈央は菜の花を心優から受けとると、テーブル花瓶に生けてあるスイトピーの横に挿した。
ピンクと白のスイトピーと黄色の菜の花が風に揺れ、その純粋で可憐な花を見ていると、奈央は短い花の命を思い涙が溢れた。
「おばあちゃん…泣いてるの?」
心優が、奈央の顔を見て心配そうに言った。
「あ、うん。お花がとっても綺麗だから、胸がいっぱいなっちゃったの」
「綺麗だと、涙が出るの?」
「そうよ、お花は見ていると優しい気持ちになるでしよ?それがいっぱいになると嬉しくて涙が出るの」
「ふぅ~ん…心優も優しい気持ち、ちょっとわかる」
心優は、黒目がちなつぶらな瞳で奈央を見て言った。
最初のコメントを投稿しよう!