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今年から小学生になった心優は、笑うと幼い頃の真子にそっくりだった。
俯いた影の表情には、時折駿の面影も現れた。
真子が事故にあったのも、丁度この年頃だった。
駿の血で真子の命は救われ、そしてその命は心優へと引き継がれた。
そこには確かに奈央の命も引き継がれている。
ずっと昔から、綿々と繰り返されてきた命の輪廻。
自然も何もかも、命あるものはそれを繰り返してきたのだ。
「あっ、愛おねえちゃんだ」
心優は、垣根の向こうに手を振って歩いてくる愛を見つけて駈けて行った。
今日は奈央の還暦のお祝いで、大学の下宿先から愛も駆け付けてきてくれた。
「おかえりなさい」
「ただいま、奈央ママ」
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