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その愛の温かな手の温もりは、奈央に死に立ち向かう勇気を与え心に安定をもたらしてくれた。
奈央は、笑顔を絶やさず慈愛に満ちた愛の姿に泉を見ていた。
愛は、泉の養女で血の繋がりはなかったが、泉が愛に残していった遺志はしっかりと愛の中で育まれ、それがいつしか自然に泉の姿と重なった。
「泉さん、もう直ぐ会えますね」
奈央は愛の中に泉の存在を感じる度に、心の中で呟いていた。
そう思うと、死というものが恐怖や孤独ではなく、ただ居場所が変わるだけなのでは、と思える様になった。
泉が居る場所。
そこは、遥か遠くにある様で身近でもあった。
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