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…いつまでくっついてんだよコイツ。そろそろ帰りたいんだけどなぁ俺。
ん、足音がする。ラクトも気付いたのか、俺から離れてソッチを向くと…
「あ、先生だっ」
センセェ? あぁ、もしかして俺の名前付けてくれたヤツか。長い金髪の人間がコッチにやってきた。
「やっぱりラクト君たちね。今日の復習してたの?」
「そうなのっ。ちゃんと命令聞いてくれたんだよっ」
ラクトは心底嬉しそうに言った。
「そうそう、さっきナビス先生がラクト君のこと探してたわ」
「ホントにっ。ちょっと行ってくるっ」
おいおい、俺を置いてどこ行くんだよ。こんな怪しいヤツと二人っきりだなんてイヤだぜ。人間の目は騙せても俺は誤魔化されないぞ。お前、本当はおと…
「ねぇ、キミは人間の言葉が分かるんでしょ?」
ふん、当たり前だ。
「今後こうやってラクト君が教えることは、キミには簡単すぎることかもしれない。でもね、真剣にやって欲しいの」
先生とやらは、急に真面目な顔になって話しだした。
「守護獣の授業は普通、召喚した状態で受けるんだけど、君は部屋に入れないでしょ?
だからラクト君は、みんなが練習している間、ずっと一人でメモを取ったりとかしてて…」
あぁ、それであんな小さなことでも、あそこまで嬉しがってるのか。あのメモ帳、いっぱい書き込んであったなぁ。…ったく、なんでアイツと俺なんだろ。今更ながら俺は思った。
「ガっちゃーんっ!!」
猛ダッシュでラクトが戻ってきた。
「あのねっ、ナビス先生が今度の授業ココでやってくれるって。ガっちゃんもみんなと一緒に授業受けられるんだよ。良かったねガっちゃんっ」
また、ラクトは俺の前足にピッタリとくっついた。
良かったのは俺じゃないだろ………だぁもうっ、仕方ないなぁ。こんなサービス、今日だけだかんなっ。俺は鼻先でラクトをつっついた。
「あははっ。ガっちゃん、くすぐったいよぉ」
むぅ、これで甘えたフリに見えるかな。力加減が難し…って先生そこで笑うなっ。お前がペラペラ喋るせいでこんなメに。
ラクトは全っ然離れる気配はないし、いつになったら帰してもらえるんだろ。昼寝の続きはもう諦めるしかないな、なんて苦笑しながら俺は空を仰いだ。
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