8人が本棚に入れています
本棚に追加
彼、ラクトと出会ったのは暖かい春の頃だった。
「では、今日から守護獣(ガーディアン)の授業に入ります。
まずは召喚してみましょう。そっちの列から順に始めます。一人ずつ先生がつくので、ちゃんと指示に従うように」
右側の列から順番に召喚していく。トラ型、ウサギ型、鳥型など様々な生き物が召喚されていく。
そしてラクトの番が回ってきた。
+++++
普通、守護獣は生まれるとすぐに召喚されていくはずなのに、俺はずっと売れ残っていた。何度も亀じぃに慰められたりもした。オレよりさらに売れ残りなヤツにそんなこと言われても全然嬉しくないっつーの。
これだけ待たされてるんだから、伝説の勇者とかに召喚されないと釣合いが合わない。
と、この日もいつものようにグチっていると突然視界が揺らいだ。
+++++
「じゃあ、ラクト君、両手を前に突き出して、ゆっくりと呪文を唱えましょう」
ラクトは真剣な面持ちで先生に従う。段々と目の前に魔方陣が浮かび上がってきた。他の人に比べて少し大きいような…。
「出でよ、我守護獣よっ」
最後のフレーズを言い放つ。すると、ラクトの目の前には大きな黄色い竜が現れた。
そう、この俺だ。
最初のコメントを投稿しよう!